臨時復旧ver.
皆さん、こんにちは。ジェイさん@発信する遊技機ブランドプロデューサーです。
今回は9月の新台『スマスロ リコリス・リコイル』のAT「リコリスラッシュ」について、開発者目線で掘り下げてみたいと思います。

ATの連チャンには、いろいろな見せ方があります。たとえば『スマスロ北斗の拳』は継続率で管理されており、バトルに勝ち続ければ20連、30連と続くこともあります。
「次も続くかもしれない」
この期待感が続くことこそ、AT機の魅力です。そう考えると、ATの終わりはできるだけ見えないほうが面白そうであると言えます。
ところが『リコリコ』は、逆のことをしています。
ウォールナットハック後のリコリスラッシュは50G+α。最初から残されたゲーム数が見えており、ゲーム数上乗せタイプでもSTタイプでもありません。その限られたゲーム数の中でボーナスを重ね、1000pt到達を目指します。

実際に打ってみて、まず新鮮に感じたのが、まさにこの「終わりが見える」ことでした。ただ、単に珍しいだけではありません。遊技を続けるうちに、この「終わりが見える」こと自体が、これまでとは違うゲーム体験につながっていることに気づきました。
では、この「終わり」をどうゲーム性に変えているのか。同社のヒット機と比較しながら見ていきます。
まず比較したいのが、『スマスロ 甲鉄城のカバネリ 海門決戦』です。
カバネリは25G+αのSTで、ボーナスを引けば再びゲーム数が巻き戻ってスタートします。遊技者から見れば「1回の成功を何度繰り返せるか」を楽しむATと言えます。

一方の『リコリコ』は、最初に50G+αという、まとまった持ち時間をもらい、その中で何回ボーナスを引けるかを目指します。1回成功してもゲーム数は戻らず、残ったゲーム数で次のボーナスを目指す形です。つまり、成功を重ねるほど、次のボーナスに使える時間は少なくなっていきます。
カバネリが「何回連続で突破できるか」というゲームなら、リコリコは「ひとつの持ち時間の中に、何回の成功を詰め込めるか」というゲームです。この違いが、両機の連チャンの手触りを大きく変えています。
たとえばボーナスを3回重ねたとしても、カバネリではSTを繰り返し突破した結果で、『リコリコ』ではひとつの50G+αの中で3回成功した結果になります。数字は同じでも、その3連が作られる構造は違います。
一般的なSTでは、連チャン数が増えるほど、そこまで到達する頻度は自然に減っていきます。対して『リコリコ』は、序盤ほど次のボーナスを狙えるゲーム数に余裕があり、成功を重ねるにつれて徐々に余裕がなくなっていく。
毎回同じような壁を突破させるのではなく、AT1回の中で何回くらい成功を経験させるか。「継続率」だけではなく、「成功回数」の作り方そのものが従来のSTとは違うように見えるのです。
ただ、50Gという持ち時間が減っていくだけなら、終盤になるほど苦しくなるだけです。
そこで重要になるのがボーナス中のポイント獲得です。リコリスラッシュでは、ゲーム数を消化するほど残された時間は減る一方、ボーナスを重ねるほど1000ptには近づいていきます。
残りゲーム数は減っていく。
1000ptへの距離は縮まっていく。
残り10Gで900ptまで来れば、「あと1回引ければ……」と残りゲーム数そのものが強く意識されます。
ここで比較すると面白いのが『スマスロ 痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』です。防振りも同様にボーナスを重ねて特定のポイント到達を目指しますが、連チャンの終わりは見えません。

対して『リコリコ』は「終わりが見えている状態」で1000ptを目指す。そのため「このペースなら届きそう」「あと少しなのにゲームがない」といった、残り時間との駆け引きがより強くなります。1000ptというゴールがあることで、本来はマイナスにもなり得る「終わりが見える」という情報が、ゲーム性に変わっています。
さらに50G終了後には10G+αの区間があり、ここでは全小役が才能Lv1以上となり、ボーナス確率も約1/12まで上がります。最後に「まだ間に合うかもしれない」という場面を作ることで、1000pt直前の攻防をもう一段強くしています。
リコリスラッシュのもうひとつの特徴が「才能Lv(レベル)」です。特定役に才能Lvが設定され、特にLv2の対応役を自力で引いたときは、「自分が必要な役を引き当てた」という感覚が強くなります。仕様を見る限り、この才能Lvこそリコリスラッシュの主役として設計されているように見えます。
ただ、実際に打ってみると、最も感情を動かされたのは1000pt直前の攻防でした。
ポイントはかなり貯まっている。でも、残りゲーム数は少ない。そんな状況で必要な役を引き、ボーナスにつなげて1000ptへ到達した瞬間はかなり気持ちいい。反対に900pt台まで進んで届かなければ悔しい。
才能Lvがひとつひとつのボーナスに「自分で引いた」という感覚を作り、その積み重ねの先に1000ptという大きな目標がある。このふたつが重なったときに、リコリスラッシュ中で最も感情が動くように感じました。
『リコリコ』を打って感じたのは、「終わりが見える=期待感が持てない」とは限らないということです。
むしろ終わりが見えるからこそ、残りゲーム数と1000ptまでの距離に意味が生まれる。限られた時間の中で何回成功できるか。その発想が『リコリコ』ならではの連チャンの手触りを作っています。
このゲーム性が市場に受け入れられ、今後、同じような機種が増えていけば、いつか「リコリコタイプ」と呼ばれる日が来るかもしれませんね。