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ISSUE.425『6月最大の出来事』

ぱちんこ業界的に6月最大の出来事は警察庁の異動だろう。6月23日付で警察庁生活安全局保安課の保坂啓介課長が警備局付=内閣官房内閣総務官室となり、空席の保安課長には6月30日付で総務課広報室長兼生活安全局付の大門雅弘氏が着任することとなった。保坂課長は昨年の10月に保安課長になったばかり。1年を経ずして保安課長が交代する。


新たに保安課長になる大門氏は2013年から2016年までぱちんこ業界担当の保安課の課長補佐だった人物だ。大門氏は10年ぶりに責任者として業界所管の担当に戻ってくることとなった。


ところで保安課長人事が業界にとって重要なのは、規制の緩急の決裁のほとんどについて課長に権限があるからだ。たとえば国家公安委員会規則である規則改正は国務大臣である国家公安委員長が、閣法での風営法改正などは警察庁はもちろん政府全体が、それぞれ最終的に判断していくためその限りではないのだが、ぱちんこ業界の諸規制のほとんどは法令でも規則でもなく、それらの解釈基準であったりたとえば型式試験の試験方法だったりたとえば業界側の自主規制によって定まるため、それらの決裁権者である保安課長の交代は極めて重要なこととなる。


なお、業界側の自主規制たとえばぱちんこメーカー組合の日工組の内規、パチスロメーカー組合の日電協が中心で決めている自主規制、ホール団体による広告宣伝ガイドライン、専用賞品のガイドライン、貯玉再プレー手数料徴収のガイドラインなどは、民間(業界)の自主規制だから警察庁の課長に諾否があるのはおかしいと思う人もいるかもしれないが、古くから慣例的に自主規制の制定や改定の諾否権は課長が持っている。一応理屈としては「この自主規制内容であれば法令に違反していない」というお墨付きという意味なのであるが、実際は課長が良いと言えば緩和されるし課長がやれと言えば厳格化されるのが自主規制だ


大門氏が課長としてどのような業界所管をやってくるかは不明だ。というかこの稿を書いている段階ではまだ課長ですらないので、まったくわからない。6月24日にはニューオータニで600人規模のパチンコ・パチスロ産業合同祝賀会が開催され多くの業界関係者、遊技産業議員連盟所属の国会議員らが集まった。毎年警察庁から来賓があるがその時点では保安課長は空席である。警察庁の来賓として壇上から祝辞を述べたのは服部審議官。保安課長ポストよりも上のポストの来賓は異例のことだった。ただし服部審議官は月並みな祝辞に留めており、今後の業界所管の方向性は不明のままである。


遊技機性能の規制緩和要望は日工組も日電協も断続的に常時続けているもの。このため、6月までに規制緩和となったものがそれぞれ少しずつあるのだが、それ以降の規制緩和がいついくつどのようなもので実現するかどうかに注目していると大門氏の課長としての所管が少しは垣間見えることになる。特に4円島の集客力が壊滅的で新台販売台数が激減中のぱちんこについての規制緩和が進むのかどうかは日工組はもちろん業界全体にとっても死活問題となるため、そこには注目していたい。


また、もう一つ気になるのは広告宣伝。昨年、広告宣伝ガイドライン違反の是正勧告件数が前年よりも2〜3倍増と激増しており、今年に入ってからもペースがなかなか鈍化していない。保坂課長のままでもこのままではどうなるか不安視しつつあるところ、大門氏が課長になったらどうなるか、この点私はかなり気になっている。


というのも大門氏が10年前まで業界所管を担当していたときの最大の問題が「遊技くぎ問題」であった。さらにいうと当時担当していたのは技術担当課長補佐なので大門氏ではないのだがART問題であった。業界所管担当課長補佐から警視庁に異動しいくつかを経て10年して戻ってきたら、遊技くぎ問題は、ART問題は、というのが大門氏が初めに目につくところであろうか。


遊技くぎ問題以降、くぎ確認シートの運用などで遊技くぎ問題は矮小化したのは間違いないが、利益調整のために店は釘の開け閉めを今なおやっている。また、ART問題当時の5号機と今のスマスロAT機と、「今の方が射幸性抑制されてるよね」と判断するのかどうか。


大門氏が課長補佐だった時代、警察庁による業界所管はPS問わず厳格化だった。当時ももちろん決裁権者は課長であり課長補佐ではないのだが、果たして課長になったら当時とは違う所管をするのかどうか。ちなみに大門氏が課長補佐だったときに風営法議連が発足している。当時は換金合法化の交換税構想+年間2,000億円課税というものであり、一年もせずに立ち消えとなったのだが、2017年の規則改正のときに厳格化過ぎると業界が自民党に助けを求め、自民党が休眠中の風営法議連を再開させて議連の目的も大きく変えたものが今の遊技産業議員連盟である。遊技産業議連には100名を超える自民党の国会議員が名を連ねており、その中には高市早苗首相も含まれている。この当時の風営法議連が今の遊技産業議連へと変化している点も、大門氏にとっては驚きには違いない。


これから大門氏が課長としてどういう判断をし、業界に対してどういった指導・要請をするかはさっぱりわからないので様子見と行きたいが、厳格化時代の課長補佐が課長になって戻ってきたということで、不安視している業界関係者が多くなっている。遊技機性能規制や広告宣伝ガイドライン関係で、どのような所管の変化があるのかあるいは変化がないのか、遊技産業議連がどこまで業界をフォローできるか等々が、今後の注目点となるだろう。


業界関係者にとって6月最大の出来事はこれであった。

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