臨時復旧ver.
5月1日付でホール4団体の広告宣伝ガイドラインが改訂された。改訂されたのは遊技産業健全化推進機構に関する部分のみであり、禁止される広告宣伝内容等の追加・修正とかではない。このため第4版ではなく「第3.1版」となっている。
遊技産業健全化推進機構(以下、機構)のことを知らない人のために少しだけ説明を。機構は今から20年前に遊技機の不正改造防止のために設立された組織だ。全国のぱちんこ店は機構に対して誓約書を提出する。誓約書には機構によっていつでも立入り検査を受けることを認めることが記される。機構は全国の店舗に対して営業中なども立入りを実施し、さまざまな方法で検査をして不正改造されていないかどうかを確認する。もちろん不正改造が確認されれば警察にも情報が行くことになる。
機構は20年の歴史の中で遊技機の不正改造防止以外の確認もするようになっていった。遊技くぎ問題のときは、他入賞口検査を実施したりもしている。現在、機構が確認しているのは不正改造防止関連以外では、計数機関連(実際に玉を借りてそのまま計数機に流して不正計数がないか確認)、依存防止対策関連(依存防止対策に店舗が取り組んでいるかどうか)などがある。
それに加えて今年の4月1日から機構は「各種ガイドラインの遵守状況の確認」という業務を追加した。各種ガイドラインとは広告宣伝ガイドライン、専用賞品ガイドライン、貯玉再プレー手数料徴収ガイドラインのことだが、機構が特に注意して確認するのは広告宣伝ガイドラインについて、である。
機構は店舗において、通常の立入りと併行してかあるいは単独で広告宣伝ガイドライン関係の確認をする。これでガイドライン違反が疑われる事例が発覚すれば各ホール団体などに情報提供され、違反濃厚となれば是正勧告となる。今は通報による情報提供を受けて判断して是正勧告という流れであるが、機構の確認という新しい是正勧告フローが登場したということだ。この機構によるガイドライン遵守状況確認及び各ホール団体や行政機関への情報提供等の規定を盛り込んだのが第3.1版となる。だからガイドラインの規制内容に変化はないのだが、かなり重要な改訂となっている。
2023年から運用が始まった広告宣伝ガイドラインの是正勧告件数は昨年急増した。今年に入っても高止まりしている状況が続いており、ホール4団体としてはどうにかして遵守状況を改善することが急務であった。警察庁がどのように考えるかで、広告宣伝ガイドラインという枠組みはいつでも崩壊することはあり得る。ガイドライン遵守状況は是正勧告件数推移からは現在はかなり悪いと言わざるを得ず、ホール4団体が何もしなければ警察庁が態度を変える可能性が高くなるというわけだ。
機構の確認というのはかなり大きなこと。全ての店舗は誓約書を提出するので(その理由等については機会があればまた)機構によるガイドライン遵守状況確認はいつでもあり得る。いつ来るかわからない機構の確認の可能性が毎日あるということであれば、少なくとも店内にガイドライン違反となるような掲示物等を置くことを避けようとするだろう。
現時点でわからないのは機構がどのようなペースでどれくらいの確認をするのか、という点だ。一応機構のHPではどういう工程なのか、公表されている。ただその確認作業がザルなのかじっくりするのか、等々は始まったばかりである。今後の状況を注目するしかない。
また、過去の是正勧告事例集を見ても「店舗内にガイドライン違反があるケースよりもSNS上などにあるケースが多い」のだ。機構の確認作業の量と質はもちろん気になるが、たとえ充実した確認作業をしていても店舗内に違反がない可能性もあり得る。機構は店内及び店外の設備等は確認対象としているが、SNSなどのWEB空間を対象とするとは明記していないようである。この点も今回の第3.1版がガイドライン遵守状況の改善に繋がるかどうか不透明な部分だ。
とはいえ、何もしないと大変まずい。このため、今回でホール4団体としては機構を枠組みに完全に取り込んできた。これでしばらく様子見して、是正勧告件数が減ればヨシ、減らずに高止まりのままなら再び何かしらの施策をホール4団体は講じることになるだろう。
2023年のガイドライン制定以降、業界内の広告宣伝業の市場規模が大きくなっているという統計もある。それはガイドライン制定のおかげで「今までできなかったことができるようになった」ことが多いからだ。今後もそのような恩恵を店舗や広告代理店、来店演者等が享受し続けるためには、ガイドライン遵守状況が改善することが必要で、そのための改訂作業だと理解してほしい。
これで改善されればヨシ、されなければ数か月後にまた何かしらの動きを見せて、警察庁が急に態度を変えないようにホール4団体は工夫するしかないだろう。