臨時復旧ver.
7月のことだが「ぱちんこ1個20円、パチスロ1枚100円」というような記事が出たのを覚えているだろうか。
ホール団体がこういうことを実現したいと警察庁に要望するという内容だったと記憶している。これは実にアホらしい飛ばし記事ではあるが、とはいえ火のないところにこのような飛ばし記事は出てこない。
警察庁はホール4団体に対して「何かしら要望があるのならまとめて持ってきてほしい」と異例の「要望を待っている」姿勢を見せている。これがちょうど保安課長の異動のタイミングに前後している。前の保坂課長は6月23日付で異動し、現在の大門課長は6月30日付で着任した。要望受付は大門課長が窓口になると考えられる。
ホール4団体とは全日遊連、日遊協、余暇進、MIRAIの4つだ。この中では全日遊連が飛び抜けて巨大な組織となっている。このためどのようなことを協議するにしても全日遊連はどうしても時間がかかる。所帯が大きいのはメリットもあるが機動力的にはこれまた致し方ない。
冒頭のような飛ばし記事が出たのは全日遊連内での協議において「貸料金上限額引き上げを要望しよう」という意見があったからだ。ただし全日遊連内で5倍、すなわち1個20円1枚100円なんて狂った金額設定をした人は私の知る限り存在しない。だから実にアホらしい記事なのだが、貸料金上限額引き上げを要望したいという意見が出たのは事実である。程度の問題であるが「1個5円1枚25円」くらいならあってもいいとは思うが5倍はさすがに頭が悪過ぎる。狂っていると言ってもいい。
さて、全日遊連は7月末までにホール4団体による検討会に出す全日遊連案をとりまとめている。その中に貸料金上限額引き上げも入っている(ただし額そのものは指定していない)。他にも風俗営業からの脱却や検定・認定期間の延長など、計6項目をリストアップした。
8月以降にホール4団体が検討会を開催してとりまとめられた内容が警察庁に提出される要望となる。4団体で揃う必要があるため全日遊連案で決まるとは限らない。が、従来の業界レートの場合は全日遊連が具体的な案を決めている場合、ほとんどそれが踏襲されることになる。なにせ加盟店舗数が5,000店舗を超えており、他の3団体と比較しておよそ10倍以上の規模の差があるのだ。単純な多数決的にも全日遊連の意思が尊重されることが多い。
ホール4団体の検討会がどこまで実施されているのか、要望はとりまとめられたのか、その要望は提出されたのか等々はまだ不明だ。盆商戦を挟んで毎年8月は業界の動きが小さいことが多い。しかし、前の保安課長だった保坂氏は昨年10月に着任し今年6月に異動となった。検討会に時間をかけていたら大門課長もいつまで課長でいるかは不明だ。このため、全日遊連は検討のとりまとめを急ぐ方針を記者会見でも明らかにしている。
ちなみに今回の要望についてはホール団体のみで実施することを想定している。メーカー団体などとの調整が必要な要望は今回は含めないとしている。だが、本質的に料金を引き上げたり検定・認定期間を延長するのならメーカー団体や販社団体との調整は不可避だ。この点、検討会の推移には注目している。結果どのような要望を出すことになるのか、その要望とりまとめの際に本当にメーカー団体等との調整をしなかったのか、等々が気になっている点だ。
要望を受け付けた警察庁は、おそらく課長を中心に要望の可否を判断していくことになる。風俗営業者からの脱却などについては風営法の改正が必須となることから課長決裁ではたぶん足りないが、課長がそのあたりの可否判断や庁内調整をしていくことになるだろう。
私は30年近く業界にいるが、「警察庁が事前に『要望を持ってこい』ということはなかった」という点を強調しておきたい。警察庁は具体的なことについては要望を持ってこいということは珍しくない。規則改正案についての要望はいついつまでに提出しろとか、スマート遊技機実現のための(当時はECO遊技機とか管理遊技機と呼ばれていた)要望はホール5団体(当時)の連名でメーカー組合の日工組が持ってこいとか、である。
しかし「どんな要望を持ってくるかホール4団体で調整して持ってこい」ということは初めてのことだと思われる。具体的な要望が決まっておらず警察庁もどんな要望が来るのか知らずに「持ってこい」と言っているわけだ。
この業界が自民党との関係を一気に強化したのは2017年の6月19日に遡る。この日規則改正案が警察庁から業界6団体(うち、ホール団体は全日遊連と日遊協だけ)に配布された。その内容がパチスロだけ極端に厳格化していたことからパチスロメーカー団体の日電協と全日遊連が協力し、自民党有志議員による風営法議連(今の遊技産業議連)の活動を再開させるように働きかけ、その後3度の参院選に独自候補を擁立して応援し木村義雄氏は今年の2月に繰り上げ当選となり参議院議員となって、全国に職域支部を設立して業界の自民党員も1万人を超えた。現在、遊技産業議連所属の自民党国会議員は100人を超える。その巨大な議連の存在が警察庁の姿勢をここまで変化させたということが言える。
今後どのような要望が出され何が実現し何が不可となったかはいずれ判明するかと思う。冒頭で触れたような「1個20円、1枚100円」のような狂った額の要望が出されるはずもないが、上限額引き上げ要望は出されることになると予想する。その実現可否を最初に判断するのはおそらく大門課長。さて、ホール4団体の検討会がどうなるか大門課長がどのような判断をするのか。少し先のことになりそうだが、今から注目しておきたい。