臨時復旧ver.
7月で最も重要な業界の話題はたぶん参加人口だ。
「参加人口」の定義は「一年間で一度でも遊技したことがある人の数」である。いろんなところが調査して発表しているが、業界的には長くレジャー白書の数字を参照していた。レジャー白書とは日本生産性本部という公益財団法人が毎年発行しているものだ。レジャー白書の参加人口が一般的にぱちんこ・パチスロ参加人口と解される。また、警察庁が参照して業界所管の参考にしていることもよく知られている。
レジャー白書はインターネットでアンケートをして調査する。余暇の種類は108で年齢制限のあるものは当該年齢のみが調査対象となる。業界の参加人口は「パチンコ」と表記されており厳密にはパチスロが含まれているかどうかという細かい問題もある。
毎年7月に日本生産性本部はレジャー白書速報値というものを発表する。「パチンコ」の場合は参加率だけ公表される。参加人口の数値は10月末頃の発表となる。
さて、今年は例年とはかなり違うこととなった。それは7月15日に例年通りにダイコク電機がDK-SIS白書の刊行記者発表会を開催したが、そこで独自の計算による参加人口を発表したからだ。しかもその数値はレジャー白書の数値よりもはるかに多いものとなっている。
DK-SISは全国のホールの営業データを集積して出力するビッグデータだ。年々台数シェアは増えており、昨年は約43.5の遊技機の毎日の営業データが集積されており、業界最大のデータ群だ。また、ダイコク電機は顔認証のシステムも取り扱っておりFan-SISデータでは年間のべ6,500万人の遊技行動履歴がわかる。さらにはサイトセブンのデータによりユーザーのアクセス等のデータもわかる。
ダイコク電機の参加人口の計算方法は簡単に言えば次の通りとなる。
・一人あたりの遊技時間(一回あたり)をFan-SISデータから算出し時間粗利を乗じる(時間粗利はDK-SISより判明)=一回あたりの消費額
・Fan-SISとサイトセブンから年間来店回数を算出する
・上記を乗じて一人あたりの年間消費額を算出する
・DK-SISの年間総粗利を一人あたりの年間消費額で除する=ファン人口となる
最大のポイントはこの参加人口の計算方法はアンケートではなく、すべてビッグデータから算出したものということ。だから蓋然性は高い。この数値がレジャー白書の数値よりも明らかに大きいということである。
レジャー白書の参加人口は近年では次の通り。
※()は参加率
・2024年 690万人(7.1%)
・2023年 660万人(6.8%)
・2022年 770万人(8.1%)
・2021年 720万人(7.3%)
ちなみに上記2023年の660万人というのはレジャー白書史上最低値で2024年の690万人というのは二番目に低い数値だ。また、レジャー白書は参加率を速報値として公表する。日本生産性本部が7月16日に公表した昨年の「パチンコ」参加率は7.4%だった。18歳以上人口を参照しての参加人口発表は10月末頃になるが、上記の数値を比較すればレジャー白書2026による2025年の参加人口はおそらく700数十万人ということになる。ダイコク電機の発表値の実に半分以下だ。
「ビッグデータとアンケートとどちらもそれなりに調査に意味はあるのでは?」と思う人には一つ面白いことを伝えておきたい。レジャー白書は「市場規模」というものを毎年公表していた。これも元はアンケート調査から一人あたりの年間消費額等を割り出して推計していたものなのだが、今は「DK-SISの市場規模をそのまま市場規模としてレジャー白書が発表する」ことになっている。要するにコピペだ。このため、ざっくり言えば参加人口以外にレジャー白書の数値を参照する意味がなくなっていた。
レジャー白書そのものは戦後の復興から高度経済成長に向かう過程で日本人の余暇消費動向を調査するというかなり重要な目的かあった。余暇消費活動が充実しているということは日本人の精神的な余裕があることを示すわけだ。余暇市場が成長することは社会全体にとって物心ともに豊かになるということも意味する。
その意味では今までの日本の成長の過程を記録するものとして意味はある。ただ、いろんなところで20年以上言い続けてきた気もするが、レジャー白書の数値は特に矮小化されていると感じていた。理由は端折るがその根拠はいくつもあった。
それでも「絶対値(数値)は信用できなくとも調査方法が同じなら経年変化はわかる」という言い分を私はしばらく採用していた。しかしこの考え方を私は数年前から捨てた。レジャー白書以外にも遊技人口を毎年調査するアンケート調査はいくつかあるのだが、それらと比較して増減の傾向がズレていることも珍しくないことに気づいたからだ。もちろん絶対値は全然違う。
レジャー白書の調査は初めは書面であった。ちょうど20年ほど前のことだが調査方法がインターネット調査に変わった。その頃、たまたま1円島が全国的に普及したタイミングであった。参加人口がその年増えたことについて「低貸島の普及が参加人口増加につながった」と分析する業界関係者が当時多かった。レジャー白書かどうかは重要ではない。調査方法が同じかどうかが重要なのであって、違う調査方法の数値を同レベルで比較するような見方をずっと業界はしてきたという残念な側面もある。
また、公益財団法人ということもあり、警察庁はレジャー白書の数値を参照して業界の盛衰を判断している。これは今年以降、どのように変化するか注目だ。
というのも当たり前だが「700万人が興じるもの」と「1,600万人が興じるもの」とでは、社会にとっての重要度が違う。1,600万人だと日本人の18歳以上の約6.6人に一人がぱちんこパチスロに興じている計算となる。当たり前だがこの数値は大きいほど警察庁も大事にしなければならなくなるし、少なければ規制強化をするのに躊躇もなくなるというものだ。
ダイコク電機が参加人口を発表するのは17年振りのこと。しかし前回とは違って今は特に顔認証データが大きい。会員管理などで一人一人の行動を確認するということもアリではあるが、顔認証によるユニークユーザー把握は会員か非会員か問わないし客に何かしらの手続きを求めることもない。年間のべ6,500万人分の顔認証データを持っている点、そしてDK-SISが持っている全国のビッグデータ、それらを総合して算出した参加人口は必ず警察庁も無視できないと私は考える。
今回17年ぶりの参加人口発表だから経年変化はこれからだ。一応レジャー白書の速報値としては0.3ポイント参加率は増えているので微増かと判断する人は多いだろう。もっとも私はもはやレジャー白書を一切信用していないのでスルーをしている。
今後は警察庁がどの参加人口をどのように参照していくのかによって、場合によっては業界所管が変わる。それくらいには重要なDK-SIS白書の刊行記者発表会であった。